HANAを始める数年前から、私は少しずつ覚悟を決め始めていました。
「ハナの将来を考えたら、私がお菓子屋さんをやるしかないのかな。」
まだ起業すると決めたわけではなかったけれど、その時が来た時に何もできない自分ではいたくない。
今の自分にできることから始めようと思いました。
起業する前から始まっていたHANA
最初にケーキを作らせてもらったのは、犬を通して知り合った方たちでした。
材料費にプラス1,000円ほどをいただいて、ご依頼を受ける。
まだ「お店」でも何でもない私に、大切な記念日のケーキを任せてくださいました。
しかも、ご依頼は近くの方だけではありません。
遠方から送料を負担してまで注文してくださる方もいて、その中には今でも変わらず注文してくださる常連さんがいます。
振り返ってみれば、起業前から今と変わらないくらいの数を作っていた時期もありました。
だから実際にHANAを始めた時も、「突然お菓子屋さんになった」という感覚はあまりなかったように思います。
それまで積み重ねてきたことの延長線上に、HANAがありました。
ただ一つ、大きく変わったものがありました。
オーブンです😂
工房用のオーブンに変わり、今までと同じようには焼けない。
温度、時間、焼き色、生地の状態……。
ここからしばらく、私とオーブンとの戦いが続きました。
家族に作る時も、お客様に作る時も気持ちは同じ
私のお菓子作りの原点は、いつも家族です。
家族に喜んでもらいたい。
家族の笑顔が見たい。
その気持ちで、ずっとお菓子を作ってきました。
そして不思議なことに、お客様からご依頼をいただくようになっても、その気持ちは変わりませんでした。
生地を作って焼くだけではなく、型から外すところから、ラッピング、メッセージカード、梱包、発送まで。
私にとっては、その全部を含めて一つの作品です。
大切な人の誕生日。
家族の記念日。
誰かに「ありがとう」を伝えるためのプレゼント。
そこにHANAのお菓子を選んでくださったのなら、最後まで自分が納得できる形で届けたい。
だから、どうしても妥協ができません。
「全部受ける」をやめた理由
始めた頃は、ご依頼をいただくことが嬉しくて、できる限り断らずにお受けしていました。
でも私は、お菓子だけを作って生活しているわけではありません。
ハナを育て、家庭のことをして、自分の仕事もする。
その中で、すべてのご依頼を受け続けようとすると、いつしか自分のキャパを超えるようになりました。
数を作ることを優先したら、一つ一つに込めたい気持ちまで薄くなってしまうかもしれない。
それは、私がやりたいHANAではありませんでした。
そこで、一日にお受けする数を制限することにしました。
記念日やプレゼントとして選んでいただくことが多いので、今は予約カレンダーを見て早めにご予約くださる方も増え、ずいぶんスムーズになりました。
たくさん作ることよりも、一つ一つにちゃんと心を込めること。
私には、この形が合っているのだと思います。
そして不思議なことに、一つのお菓子にきちんと向き合えた日は、私自身も満たされています。
届けているはずの私が、支えてもらっている
ケーキが無事に届き、
「喜んでもらえました」
「お願いしてよかったです」
「また来年もお願いします」
そんな言葉をいただくたび、嬉しいのはもちろんですが、それ以上に感じることがあります。
支えてもらっているのは、私の方だな。
起業する前から応援してくださっている方。
HANAを始めてから出会い、何度も大切な日に選んでくださる方。
遠方から送料を負担してまで注文してくださる方。
ずっと変わらず見守ってくださる常連さん。
もちろん、いいことばかりではありません。
思うようにいかなかったり、失敗したり、凹んだり。
「もう無理かも」と思う日だってあります。
それでも、お客様からいただいた言葉を思い出すと、
「また頑張ろう。」
そう思えます。
ケーキを通して、心を届けられたら
私は、物を作って売るだけのお菓子屋さんには、たぶん向いていないのだと思います。
効率だけを考えたら、もっと違うやり方があるのかもしれません。
でも、家族の笑顔が見たくて始まった私のお菓子作りだからこそ、その気持ちはこれからも大切にしたい。
誰かを想う気持ちを預かって、それを一つのケーキにして届ける。
そんなお菓子作りができたら、私は幸せです。
そして今までを振り返ると、私たち家族がHANAを育ててきたというより、
たくさんの温かいご縁に、HANAと私たち家族を育ててもらってきたのかもしれません。
ケーキを届けている私が、いつもたくさんの温かい気持ちを受け取っている。
そのことを忘れずに、これからも一つ一つ、大切に作っていきたいと思います。

