ハナの将来を考え始めた頃、私は就労支援事業所の見学には行きませんでした。
もちろん、それぞれの事業所には素晴らしい支援があると思います。
でも、学校生活を見てきた私は、ずっと感じていたことがありました。
担任の先生が変わるたびに、一から関係を築き直すハナ。
新しい環境に慣れるまで、人一倍時間がかかる姿を何度も見てきました。
この先も環境が変わるたびに、また一からのスタートになる。
そう考えた時、ハナが自分らしく働く未来を思い描くことができませんでした。
ハナの夢は、小さな頃からずっと変わりません。
「パティシエになりたい。」
その夢を応援できる場所を作ってあげたい。
だったら…
一番ハナを知る私が、環境を作ればいい。
そう思いました。
私自身も、お菓子作りが大好きでした。
趣味だったお菓子作りが、ハナの夢につながるかもしれない。
そんな想いから、自宅工房 SWEETS LAB HANA が始まりました。
ハナは手先に感覚鈍麻があり、細かい作業は得意ではありません。
でも私は、「今できない」と「これからもできない」は違うと思っています。
時間をかけて、その子に合った方法を見つければ、できることは少しずつ増えていく。
そう信じています。
今、HANAでハナが担当している作業は、まだほんの一部分です。
焦らなくていい。
一歩ずつでいい。
昨日より今日。
今日より明日。
小さな「できた」を積み重ねながら、その子らしいペースで進んでいけばいい。
ありがたいことに、この話をすると、
「勇気をもらいました。」
「応援しています。」
そんな温かい言葉をかけてくださるお客様がいます。
ケーキを届けているつもりが、励まされているのはいつも私の方です。
人生に無駄な出来事はなく、すべては必要なこと。
目の前にあるご縁を大切にし、その時々の選択と向き合いながら歩んでいく。
今日の一歩が、未来につながると信じて。


