HANAの取り扱い説明書に書かれていたこと

2日間の発達評価が終わり、結果を聞く日になりました。

担当してくださった小児心理士さんは、私たち夫婦にHANAの特性を一つずつ丁寧に説明してくださいました。

私は、その時間が今でも忘れられません。

まるで今まで分からなかったHANAの世界を、一緒にのぞかせてもらっているようでした。

まず驚いたのは、見えている世界が違うことでした。

同じ景色を見ていても、HANAは私たちとは違う見え方をしている。

だから見つけられないことがある。

だから落ち着かないことがある。

「見えていない」のではなく、

「見え方が違う」

そう教えていただきました。

次に教えていただいたのは、

困ると笑ってしまうこと。

私は、それまで笑っているHANAを見て、

「楽しそう。」

「大丈夫そう。」

と思っていました。

でも違いました。

笑顔は、

「困っています。」

というSOSだったのです。

だから周りの大人も気付きにくい。

私も気付いてあげられていませんでした。

そして、

何度も同じことを聞く理由。

私は、

「さっきも言ったよ。」

そう思うことが何度もありました。

でも、小児心理士さんは、

HANAの記憶は一本の線ではなく、

第一章、第二章、また第二章…

そんなふうに断片的につながっていると教えてくださいました。

だから悪気があって聞いているのではありません。

本当に、つながっていないのです。

さらに、

HANAの指先の感覚は、

まるで軍手を二枚つけて生活しているような状態。

だから細かい作業は、人よりずっと難しい。

出来ないのではなく、

出来にくかった。

それを知った時、胸が締め付けられました。

そして、一番忘れられない言葉があります。

叱られた時のHANAは、

「崖っぷちに立っているところを、さらに突き落とされるような恐怖を感じています。」

私は言葉を失いました。

「どうして分からないの!」

そう叱っていた私は、

HANAをさらに追い詰めていたのかもしれない。

そんな思いが込み上げました。

あの日、小児心理士さんから教えていただいたことは、

私にとって、

HANAの取り扱い説明書でした。

その日から、

私はHANAを変えようとすることをやめました。

変えたのは、

私の言葉。

私の接し方。

そして環境です。

問題が起きてから叱るのではなく、

問題が起きないように先回りして環境を整える。

それが、私たち親子の新しい子育ての始まりでした。

あれから十数年経った今でも、

子育てに悩んでいるご家族に出会うと、私は小児心理士さんへの相談をおすすめしています。

全国的にも人数が少なく、簡単に出会える職種ではありません。

それでも、あの日教えていただいたことは、今でも私の子育ての土台になっています。

子どもを変える方法ではなく、

子どもを理解する方法。

それを教えてくださった、小児心理士さんとの出会いに心から感謝しています。

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